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通気・換気のすべて 【Vol.4 換気不良によるトラブルの事例②】

2022/03/16

通気・換気のすべて 【Vol.4 換気不良によるトラブルの事例②】

2016年日本住宅新聞に連載(6回)されたインタビュー記事です。木造住宅では重要とされつつも、問題も多い躯体の通気・換気。
省エネや耐久性を含めた外皮の設計法を研究している足利大学(当時足利工業大学)の 齋藤先生にお話しいただいています。
基礎的なことから 実例を用いた例まで簡単にわかりやすく解説していただいております。
今回は「Vol.4 換気不良によるトラブルの事例 ②」をお届けします。

齋藤宏昭先生 プロフィール

足利大学工学部創生工学科建築・土木分野 教授(工学博士)。専門は建築環境工学。 (財)建材試験センター物理試験課、建築研究所環境研究グループ専門研究員などを経て現職

 



〈トラブルの概要〉
構造:木造 3 階建て(屋根形状は寄棟・軒ゼロ)
築年数:17 年   
症状:耐震性にも大きな影響があると考えられるほど、構造材の腐朽・蟻害が進行。外壁も、サイディングの反りなどが見られた。キッチンや内装の更新を目的としたリォームの際に発覚し、最終的に、構造部の補修を中心とする内容に変更した。

写真①

写真②

写真③

まず、外壁のサイディングの目地のシーリングが劣化していましたが?

 サイディングの目地から雨水が大量に浸入した可能性があります。通気層があっても、浸入した水分を排出しきれず、通気層内に溜まったせいで、通気層内部の湿度が上がってしまったのでしょう。3 階建てで、しかも隣家がないため外壁にかかる雨量も密集地に比べ多く、相当な量の水が入り込んだと推測されます。


外壁を剥がすと、木材が激しく劣化しており、シロアリの痕跡もありましたが?

 木材には腐朽菌が発生していますね。ちなみに、腐った後に木が白くなるのが白色腐朽菌、褐色になるのが褐色腐朽菌です。シロアリによる食害もひどい。芯材の周りが食べられていますね。
 サイディングの目地から浸入した水が、胴縁を伝って広範囲に流れていき、開口部周りや透湿防水シートのたるんだ部分などに溜まったのでしょう。シートの裏側にも雨水の浸入痕があり、シートの排湿能力を超える水分が入ってしまったために、湿度も飽和状態になったものと思われます。通気層があるにも関わらず、ここまでの状態になるのは深刻です。通気層が確実に機能していれば、ある程度の雨水が浸入しても、その水分は壁の外へ排出されるはずです。しかし、写真では通気層の上部が行き止まりになっているようです。通気層があるから大丈夫――という話ではなく、通気のための出入口を確保し、澱みが生じないよう通気経路や圧力バランスを、きちんと考える必要があります。今回は偶然に発覚しましたが、内装をリフォームする時でも、外装関連の検査を実施していただいた方が良いですね。
 次回は、見逃されがちな “下屋” の換気についてお話ししましょう。

 

通気・換気のすべて(全6回)のPDFデータもご用意!

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