
2024/04/22
2024年4月20日号新建ハウジング 新産住拓様のインタビューでトーコー製品を評価いただきました。
2022/03/04
足利大学工学部創生工学科建築・土木分野 教授(工学博士)。専門は建築環境工学。 (財)建材試験センター物理試験課、建築研究所環境研究グループ専門研究員などを経て現職
冬場、室内を暖房しているときなどは、暖められて軽くなった空気が上昇し、天井の隙間から小屋裏に入り込みます。人間は普通に生活するだけで呼気や調理・入浴に伴う水分を放出しているので、局所換気等で排出されなければ、当然その水分も小屋裏に浸入することになります。前回もお話しした通り、この 20 年ほどで住宅の断熱・気密化が進んだため、以前に比べて室内の温度が上昇しました。このような近年の住宅は、24 時間換気によって本来ならば冬期の室内湿度は低く抑えられるのですが、加湿器・開放型暖房器具の使用や、24 時間換気を居住者が故意に止めた場合は室内の湿度が上昇します。このとき、断熱材を乱雑に置くだけなど、天井周辺の断熱・防湿施工が正しく行われていなかったりすると、室内の水分が小屋裏空間へ浸入し結露を誘発しやすくなるのです。省エネのために断熱化を行っても、不完全な防湿施工は、劣化のリスクを高めてしまうのです。
外部からの水分浸入にも注意する必要があるでしょう。野地板の釘穴や防水紙の重ね合わせから雨水が浸入する可能性はゼロではなく、近年普及している太陽電池パネルも、設置方法によっては雨水浸入の要因になります。近年は、各メーカーの努力で施工法が改善されていますが、これらのリスクを低減させるために小屋裏換気の確保が重要なのです。
小屋裏は温度が上がりやすいため、熱せられた空気が上部に溜まります。そのため、屋根で最も高い位置にある棟から排気することは、理にかなっ たやり方です。シミュレーション計算でも、棟換気方式は、換気孔の面積が少なくても必要な量の換気を確保できるという結果が出ています。また、都市部など住宅が密集している地域では、軒や妻側の風圧が低くなります。このような地域では、軒や妻換気口へ空気を入れ替える圧力が かかり難くなりますが、棟ならある程度の圧力がかかり、小屋裏内の空気が外へと出やすくなります。
<棟換気(トーコー「i-ROOF」)>
屋根断熱では断熱層より内側は室内として扱われるので、小屋裏換気は不要ですが、外壁のように通気層を必ず設けて、換気を確保する必要があります。屋根では、瓦の隙間から浸入した雨水が二次防水層の上に水が溜まり、 野地板の裏面に達することがあるので、通気層がない屋根断熱では垂木など通気層がないと野地板が湿潤し小屋組まで劣化するリスクが非常に高くなります。ゆえに、一般に採用されている垂木間充填等の断熱方法では、屋根通気層の位置を野地板の下面とすることが重要です。
次回からは、瑕疵事例の分析を通じて、通気・換気のポイントを具体的に見ていきましょう。
注 1:天井と屋根の間にある空間。屋根裏
注 2:屋根の頂部で、屋根面が交差する部分
注 3:屋根面に断熱材を施工する工法。天井面に断熱材を入れる場合は「天井断熱」という
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