メディア

media
  1. TOP
  2. メディア
  3. 新聞・雑誌
  4. 通気・換気のすべて 【Vol.3 換気不良によるトラブルの事例①】

通気・換気のすべて 【Vol.3 換気不良によるトラブルの事例①】

2022/03/09

通気・換気のすべて 【Vol.3 換気不良によるトラブルの事例①】

2016年日本住宅新聞に連載(6回)されたインタビュー記事です。木造住宅では重要とされつつも、問題も多い躯体の通気・換気。
省エネや耐久性を含めた外皮の設計法を研究している足利大学(当時足利工業大学)の 齋藤先生にお話しいただいています。
基礎的なことから 実例を用いた例まで簡単にわかりやすく解説していただいております。
今回は「Vol.3 換気不良によるトラブルの事例 ①」をお届けします。今回から 2 回に渡って、通気・換気の不良による事故(瑕疵)の事例を、齋藤先生が分析、解説します。

齋藤宏昭先生 プロフィール

足利大学工学部創生工学科建築・土木分野 教授(工学博士)。専門は建築環境工学。 (財)建材試験センター物理試験課、建築研究所環境研究グループ専門研究員などを経て現職

 



〈トラブルの概要〉
構造:木造 2 階建て(屋根形状は片流れ)   
築年数:7 カ月 症状:当該住宅は平面が 3 つに分割されたプランで、棟換気は長いもの、短いものが 2 カ所に設置されていた。小屋裏から大量の水が居室内に浸入=写真①。屋根を解体したところ、野地板も不具合のあった箇所だけ明らか湿っていた=写真②。

写真①


写真②




 


この新築住宅で発生した事故の要因は何でしょうか?

 まず、大量の水分が小屋裏に浸入したと考えられます。雨水に起因する水分が浸入したのか、室内の湿度が高かったのか、正確に判断はできませんが、室内側に原因があるとすれば、加湿器を過剰に使用したとか、浴室の換気に配管ミスがあって、ダクトから浴室内の湿気が浸入した――などが考えられます=図。
 その上で、大量の水分を排出するための換気能力が不足していたために、結露が発生したと推測されます。この建物では小屋裏空間が 3 つに区切られているにも関わらず、結露が発生した区画に換気棟が配置されていないことがわかります=図。
 屋根全体で見れば、小屋裏換気量は公的な指針を満たしていると思われますが、問題が起きた部分に限れば、換気量が不足しています。結露の根本原因は何らかの水分の流入ですが、安全弁としての換気口面積が不足したことにより大量の結露水が生じ、最終的に天井面から室内に流れ込み、発覚したということでしょう。


どのような解決策が考えられますか?

 まずは、水蒸気の発生源を断つことです。次に小屋裏換気の確保ですが、今回のようなケースでは全体の換気量が十分かどうかよりも、小屋裏空間の構成を把握したうえで、換気口をバランスよく配置することが重要です。当該住宅では、長い棟換気と短い棟換気が設置されていますが、「短い棟換気を、分割された 3 カ所の区画にそれぞれ設置する」ことで解決できるでしょう。
 次回は、リフォーム時に発覚した瑕疵の事例を見てみることにしましょう。


通気・換気のすべて(全6回)のPDFデータもご用意!

お問い合わせ

Contact

まずはお気軽にご相談ください

お電話でのお問い合わせ

0743-71-0151