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2024年1月30日号新建ハウジング 「通気・換気」について話していただいています。—屋根換気メーカー協会—

2024/04/02

2024年1月30日号新建ハウジング 「通気・換気」について話していただいています。—屋根換気メーカー協会—

木造住宅の外皮性能向上が進む中、耐久性向上のためにも外皮や小屋裏の通気・換気の重要性も高まっている。屋根換気部材メーカー11社からなる屋根換気メーカー協会(以下屋換協)では、技術顧問の松岡大介さん(ものつくり大学教授)との共同研究などを通じて、さらなる木造住宅の耐久性向上を追求している。同協会会長のタニタハウジングウェア代表取締役社長・谷田泰さんと事務局長のトーコー開発営業部部長・楠木義正さん、松岡さんに話を伺った。


屋根換気メーカー協会会長のタニタハウジングウェア代表取締役社長・谷田 泰さん
事務局長のトーコー開発営業部部長・楠木 義正

 

未来型住宅の鍵は、ズバリ「通気・換気」にあり
高寿命・高耐久住宅を目指し、メーカー一丸で「屋根の通気・換気」に注力

谷田

 当協会は2011 年、国土技術政策総合研究所(国総研)の研究会を契機に発足した。部材メーカーとしては、屋根の換気不良による小屋裏結露、木材の腐朽など深刻な事故事例を少なからず経験しているが、研究が進むにつれ、多少雨水が浸入したり、結露が起きたとしても換気がしっかりとなされれば深刻な被害には至らないことが、我々メーカーと住宅のつくり手双方で理解が深まってきた。
 ただ、屋根(小屋裏)の通気・換気に関する基準やガイドラインとしては、住宅金融支援機構の「木造住宅工事仕様書」、JASS12 の15 節「棟換気(屋根換気)」しかないのが現状。しかも換気量の値は長年変更されておらず、近年増加している屋根断熱もほとんど考慮されていないという課題もある。屋根の頂部から空気を抜く棟換気は、確かに空気の流れを考えると理には適っているが、屋根勾配の違いや、給排気を1カ所にするか複数箇所にするかによって効果も変動すると考えており、複数の棟換気メーカーが集まり、情報を共有することでより住宅の耐久性向上に寄与する製品を開発していきたい。単に換気製品をつければ耐久性が上がるというわけではない。どのような理屈で、どのように「空気の流れをデザインする」のか、松岡教授の研究にも協力しながら協会をあげて取り組んでいく。

楠木

谷田会長が挙げた住宅支援機構の基準は、我々としてはあくまで最低限の基準だと捉えている。日本では、最低の基準を満たせばそれでよいと思われがちだが、通気・換気の概念が浸透し、しっかりと重視されている欧米の基準はもっと厳格だ。日本でも、耐震性・断熱性には「等級」が設けられているように、通気・換気にも「換気等級」のように、新たな等級を設け、より長持ちすることに貢献する仕様が日本の住宅に普及、浸透するような状況をつくることが重要だと考えている。当協会は、発足以降、会員各社も換気量をしっかり確保できる製品開発に力を入れるとともに、通気・換気の重要性を業界団体や行政にも積極的に発信してきており、住宅金融支援機構や日本建築学会に対し通気・換気に関する意見を提出している。特に2020年の「JASS12」の改訂にあたっては当協会も委員として参加し、一定のガイドラインを設けていただけるよう、協会として申請した。晴れて掲載の運びとなり、通気・換気の認知が多少なりとも進んだと考えている。生活者の注目が集まりやすい耐震性にしても、結露で木材が腐朽するとせっかくの耐震等級も意味がない。断熱も同様。構造や断熱と、通気・換気は不可分であり、並行して考えるべき事項である。今後、公的な基準やガイドラインにおける通気・換気の仕様改善を進めると同時に、生活者が住宅を取得する際、マイホームの寿命や耐久性を意識し、通気・換気の重要性をしっかり感じていただけるよう、toC への啓蒙にも取り組んでいきたい。



同協会技術顧問
ものつくり大学技能工芸学部建設学科 教授
松岡大介さん

中古流通活発化で耐久性はより重視される性能に
将来評価される住宅を目指す

 同協会技術顧問でものつくり大学教授の松岡大介さんは、同協会などの協力を得て同大構内に実験棟を建て、木造住宅の耐久性向上に関する研究を行っている。現在は、高層木造建築における雨水や結露の影響について、国総研とも共同研究に取り組んでいるという。躯体の通気・換気は非常に重要だとしつつも「住宅1棟を新築するには考えなくてはならないことが無数にあり、実務者はどうしても(通気・換気を)後回しにしがち」と松岡さん。しかし、既にその傾向が見られつつあるが、欧米の例のように、中古(既存)住宅の流通が活発化していくにつれ「生活者からはより重視される」と予測する。中古住宅の売買が当たり前の市場になれば、新築時から“この住宅はいくらで売却できるか”が関心事になる。松岡さんは、中長期的な話だとしつつ「市場が変化していけば“売却できる家を建てよう”と考える生活者が必ず出現するはずだ」とし、時間が経過しても一定の価値を持ち続ける住宅をつくるために、通気・換気を中心に、住宅の耐久性向上の研究に取り組んでいるという。

ものつくり大学の実験棟(一部改修中)。500 カ所にセンサーが取り付けられており、温度・湿度や気圧、風速などを計測している。通気層内でどのように空気が流れるかを調査するためであり、バルコニーや付加断熱など、通気・換気が関連したトラブルが多い要素を備えている


また、協会と連携した取り組みとしては「(外壁の通気や小屋裏換気の)推奨仕様をつくりたい」と話す。松岡さんは、HEAT20のように「これからの時代、国や行政が定めた基準ではなく、民間の企業や団体がつくった基準がデファクトスタンダード化する状況が望ましい」とし、「耐久性の向上に資するメーカーが団体を構成することで、(耐久性向上の)けん引力になってほしい」と期待を寄せた。

【お問合せ先】
株式会社トーコー マーケティング課
TEL 06(4908)6891

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